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「伯爵の誕生日プレゼントを考えた結果なんだよ。ホラ、伯爵のプレゼントにファントム社のおもちゃとか、あり得ないでしょう?」
 劉の言葉に、シエルは曖昧に頷いた。ある意味、他社製品を貰うのは有意義なことだが、シエルは子ども扱いされるのを何より嫌う。誕生日プレゼントにおもちゃなんて、地雷以外の何物でもない。
「で、考え抜いて青い薔薇を作ったんだよ」
 怒る前に我の努力を認めて欲しい、といじける劉にシエルは首を傾げた。それは、白薔薇を青く染める理由にはならない。おもちゃ以外を考えての結果だけなら、どんな薔薇でも良かった筈だ。それに、とシエルは考える。劉ほどの情報収集能力があれば、セバスチャンがシエルの為に白薔薇を育てていることぐらい知っていて当然。何も、一手間かける必要などない。怪訝そうな視線を向けるシエルに、劉は片目を開けて嘯いた。
「青い薔薇って、伯爵のイメージにぴったりでしょう?」

 

◆◆◆◆◆

 

 結局、シエルはディナーまで劉に付き合う羽目になり、その疲労は限界を超えていた。更に、不機嫌さも青天井。特に、デザートに運ばれてきたバースデーケーキ第二弾を見た瞬間、シエルの怒気が青いオーラになって揺らめいて見えるほどだった。そして今も。寝室のサイドテーブルの花瓶に生けられた青い薔薇に、厳しい視線を向けている。
「如何致しましたか?」
 憮然としながらも、握った拳が震えている。セバスチャンは、小さく肩を竦めながらシエルのジャケットを脱がし始めた。