「その前に初詣に行くんだよ!」

 口では強い口調でミハエルを拒絶するものの、潤んだ瞳で見上げるアルトに、ミハエルの衝動はそのまま突っ走ってしまいそうだ。

「残念・・・・」

本当、無自覚にも程がある。ミハエルは理性を総動員させ、ベッドから降りた。チラリと振り返れば、アルトも布団から這い出して長い髪を背中に流している。そんな何気ない仕草さえも美しい。

 アルトは、深いため息と共に立ち上がった。新年早々、簡単にミハエルに流されてしまう所だった。今年こそは、上手くコントロールしたいと心に決めているのに。グッと拳を握った時、不意に何かが引っ掛かった。

「なぁ、ミシェル」

「アルト、あのさぁ」

 二人は同時に振り返った。顔を見合わせて笑い合う。きっと、言いたいことは同じ。これ以上ない笑顔を閃かせて、アルトとミハエルは同時に口を開いた。

「今年もよろしく」

 

〜fin〜

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