ん?と柔らかく微笑んで覗き込むと、アルトは真っ赤になって顔を背けた。どうして、ミハエルはそんな甘いセリフを簡単に口にするのだろうか。そうやって、たくさんの女性達を虜にしてきたのだと思うと、正直胸が痛む。なのに、同時にミハエルの甘い笑顔にほだされてしまうのが腹立たしい。 「それに・・・・・」 赤く染まるアルトの耳に唇を寄せて、ミハエルは特別な色を孕む声で囁いた。 「たまには、宿舎でってのも悪くないよな?」 唇で柔らかな耳朶を食むと、腕の中でアルトの身体がビクリと跳ねる。スウェットをたくし上げて、脇腹に掌を滑らせる。息を飲むアルトに、ミハエルは淫らに唇を歪めた。 「・・・・それとも?・・・・姫、今欲しい?」 ゴクリ、と喉が上下する。 その時だ。ピピピと間の抜けた電子音が響き渡った。タイムアップである。 「ほら、時間だよッ!」 アルトは、ハッと我に返った。危うくミハエルの雰囲気に飲まれる所だった。いや、もう既に飲み込まれかけていた。 「どうせ、仕事は午後からだぜ?」 |