「・・・んぅっ・・・・んぁ・・・・」

 滑らかな髪を撫でて、柔らかな頬をなぞる。アルトは、強くミハエルの胸元を握り締めた。ミハエルの指が触れるだけで、身体の奥が甘く痺れるようだ。熱い口付けだけで、身体が期待してしまう。ミハエルのいつもの手順を想って、鼓動が早くなる。ギュッと、手が白くなるまで拳を握る。ミハエルの手が、ソロリとスウェットの裾から忍び込んだ。刹那、アルトは思いっきりミハエルの胸を突き飛ばした。

「っ・・・ふざけるのもいい加減にしろっ!」

 濡れた瞳を隠すように、アルトはキッと眦を吊り上げ、手の甲でミハエルの唇の感触を乱暴に拭う。

「今日は午後からシフト入ってるから、午前中の内に初詣に行きたいって、昨日言ってただろう?」

 刺々しい口調でまくし立てるアルトに、ミハエルは不満そうに唇を尖らせた。

「そもそも、俺に何の相談もなくシフトを入れたのは姫だろう?」

 プニプニと人差し指で鼻の頭を叩くと、アルトは困ったように視線を彷徨わせる。

「し、仕方ないだろう!正月は休みたいって人が多くて、シフトを組むのが難しいって聞いたからさ・・・・・」

 夏休みと違い、クリスマスや年末年始は全宇宙一斉かつ、習慣や宗教上の理由からずらすことなど不可能である。よって、休暇を申請する人が多くなってしまいがちなもの。協力できるなら、と声を掛けられてアルトは素直に頷いてしまったのだ。

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