「どうした?姫?」

「な・・・・・何か、恥ずかしい・・・・・」

 それは、新年が明けて最初の挨拶を、肉親ではなく誰よりも愛しい相手にすることへの気恥ずかしさか。それとも、ミハエルの体温に包まれながら新年の挨拶をしたという事実への羞恥か。もしかしたら、その両方だったかもしれない。だが、ひたすらうろたえているアルトに分かる筈もなかった。

「あ〜・・・・・姫?」

 ミハエルはガシガシと頭を掻いた。どうやら、今年も男の性を知らないアルト姫は健在のようだ。隅々までヒビの入った理性で耐えていたミハエルだが、この不意打ちに完全に我を失った。サラリと艶やかな黒髪を指で梳き、そのままアルトに被さるように体勢を変える。

「・・・・ミシェル?」

 琥珀色の瞳が不安そうに見上げてくる。それでも、その揺らめきすら今のミハエルを煽るには十分だった。ミハエルはペロリと唇を嘗めると、アルトの耳元に吐息を落とす。

「ヒメハジメ、しようか?」

「何だって・・・・んっ・・・・」

 有無も言わせず唇を奪って、無理やり舌をねじ込ませた。熱い口腔を蹂躙し、漏れる吐息すら貪った。

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